三菱ふそうが本気で売り出すEVトラック「eキャンター」
三菱ふそうから発売されたEVトラック「eキャンター」は、商用車におけるEVシフトを考える上で注目すべき車両のひとつです。
2017年10月時点の日本国内では、ヤマト運輸とセブンイレブン・ジャパンという大手企業がそれぞれ25台のeキャンターが採用されることが既に決定しています。
今回は、日本の物流の中心に位置づけられる大企業も注目するeキャンターの特徴から見えてくる、EVトラックのメリットやデリット、将来性などについて皆さんと一緒に考えていきます。
三菱ふそうのEVトラック「eキャンター」とは?
eキャンターとは、三菱ふそうの人気小型トラックであるキャンターの電動仕様車です。
リチウムイオン電池を搭載するeキャンターは、最高出力135Kwのモーターによって電気走行できる車両となっています。
ちなみに物流業界でも注目されるセブンイレブンやヤマト運輸向けに採用された一部のトラックには、食品の配送などに欠かせない冷蔵設備も備わっているようです。
こうした形で宅配業界や小売店用にカスタマイズされたeキャンターでは、冷蔵設備に電源供給を行っても、1回の充電で100km走行可能な性能があると言われています。
商用車をEV化する意外なメリットとは?
トラックなどの商用車におけるEV化で期待されているのは、都市部における環境対策への貢献です。
まず電気で走行するeキャンターなどのEV車にすると、CO2排出をゼロにすることで大気汚染などの問題への取り組みなどもアピールしやすくなります。
また走行音が非常に静かなeキャンターは、店舗やお客様への配送で深夜の住宅地を走行することの多いヤマト運輸やセブンイレブンといった会社にとって、地域住民に迷惑をかけない点でも大きなメリットがあると捉えて良いでしょう。
ちなみに電気自動車のEVトラックを導入すると、冷凍品の配送中にエンジンをかけ続ける必要もありません。
EVトラック普及に向けた日本の課題
小売業界や宅配業界にとってメリットの大きなeキャンターを日本に普及させるには、EVトラックならではの問題に着目する必要もあります。
まず前述のとおり航続距離が100kmメートル前後となるEVトラックの場合、充電設備やバッテリーに関する問題を解消しなければなりません。
例えば、eキャンターに長距離走行にも耐えうるほどの大型バッテリーを搭載した場合、総重量が重くなることで荷物の積み込みに支障が出るとも言われています。
また2017年5月に日本で初めてトラック用充電設備が川崎にできた状況から考えると、長距離を走るトラックをEV車に変えるという状況はまだまだ先のことだと捉えた方が良さそうです。
この他に住宅地を走行する上で大きなメリットとなる静音性には、歩行者や子供がトラック接近に気づかないことにより、交通事故などのトラブルを引き起こすリスクを生じさせるとも考えられています。
高齢化社会へと進み続ける日本では、耳の遠いお年寄りなども今後増え続ける傾向がありますので、静かすぎるEVトラックの難点についても議論すべき内容と捉えた方が良さそうです。
セブンイレブンはどのようにEVトラック「eキャンター」を使っていくの?
まずセブンイレブンでの運用は、EVトラックに適したルートをeキャンターに担当させながら、従来のディーゼル車と併用させるスタイルとなるようです。
これに対してヤマト運輸では、試験導入的な位置づけで集配を行うセールスドライバーが使用することを検討しているようです。
こうした形でEVトラックの特性を自社の事業に上手に取り入れるセブンイレブンやヤマト運輸の取り組みは、商用車のEV化にもより良い影響をもたらすと捉えて良いでしょう。